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2019.03.21

ノルウェーサーモンって何?混乱しやすいアトランティックサーモンとの違いを徹底解説

鮪人(まぐろびと)鮪人(まぐろびと)

生食のサーモンが好物という方はいますか?

たしかにサーモンの肉厚な身は魚の中でもしっかり脂がのって甘く、とろけるような食感で美味しいですよね。

寿司屋で注文するだけでなく、魚屋さんやスーパーなどでサクッと購入し食卓に並べる方もいると思います。

 

さて、このとき目にするサーモンの商品名。

  • アトランティックサーモン
  • ノルウェーサーモン
  • トラウトサーモン

などなど、いくつもあって迷ってしまった経験はありませんか?

みんな同じサーモンに見えて、実は明確な違いがあるのです!

今回はそんなサーモンの表記の違いについて、とくに「アトランティックサーモン」と「ノルウェーサーモン」の違いに注目して解説します。

 

アトランティックサーモンとは?

サーモンという言葉はもともと英語の”Salmon”のこと。

そして英語圏ではもともとアトランティックサーモンのことのみをサーモンと指していました。

 

アトランティックサーモンとは、ノルウェー、カナダ、チリなどで養殖が盛んなサケ目サケ科タイセイヨウサケのこと。

この魚は肉厚で美しいサーモンピンクの身と、脂の乗ったとろけるような食感が特徴的です。

身は加熱しても固くなりづらく、刺身はもちろんムニエル、フライなどによく使われます。

 

アトランティックサーモンが「サーモン」と呼ばれるようになった後、サケの仲間やサケに近い魚にもさまざまな種類が存在すると分かってきました。

その代表格がトラウトサーモンです。トラウトとは英語で「マス」を意味します。

トラウトサーモンはもともと淡水魚であるニジマスの仲間ですが、サーモンに似た味わいと食感を持っています。

これを海で養殖できるよう品種改良したものが現在のトラウトサーモンです。

アトランティックサーモンとトラウトサーモンは、もともと別の種類の魚なのですね。

 

ノルウェーサーモンとは?

ではノルウェーサーモンとはいったい何なのでしょうか?

実は、ノルウェーサーモンとはアトランティックサーモンのうち特定の育ち方をしたものを指す言葉。

つまりアトランティックサーモンの一部を指して呼ぶブランド名のようなものです。

 

ノルウェーサーモンが育つのは、その名のとおり北ヨーロッパのノルウェー地方。

ノルウェーはサーモン生産のメッカで、氷河によって作られた複雑な入り江(フィヨルド)付近で盛んに養殖が行われています。

養殖が行われるフィヨルド周辺は住人が少なく、生活排水による海水汚染の心配があまりありません。

そのため、サーモンの稚魚たちは山から降りてくる綺麗な雪解け水の中で、最適な塩分濃度を維持されつつ育ちます。

もちろん食用魚にとって重大な「安全性」も確保されます。そんな厳しい品質管理が行われるなかで育ったのがノルウェーサーモンなのです。

 

まとめると、ノルウェーサーモンとはアトランティックサーモンのブランド名。

このブランドを名乗るためには、単にノルウェーで育ったというだけではNGです。

エサや水など厳しい基準をクリアした環境で養殖されたアトランティックサーモンであることが必須です。

 

そのような環境で育ったノルウェーサーモンは、甘みが強くジューシーな味わいが魅力です。

寿司屋や料亭はもちろん、イタリアンやフランス料理のお店でも愛用されています。

 

ノルウェーサーモンが危険と言われているのは本当?

ネット上のブログなど、ごく一部では「ノルウェーサーモンは有害物質が多く含まれており危険」などという話がまことしやかに囁かれた時期もありました。

しかし、これは全くのデマだと判明しています。

 

ノルウェーサーモンを危険視する話の根拠は「不衛生な環境で育てられている」「養殖魚は薬漬けだ」といったものでした。

 

でも、そもそもノルウェーサーモンは食用にすることを想定して整えられた養殖環境で育てられたものです。

厳しい環境管理のなかで育ったものだけが出荷され、食卓へと並んでいます。「不衛生な環境で育てられている」というのは考えにくいですね。

 

また「薬漬け」という文言ですが、こちらもかなり不適切です。

そもそもサーモンの養殖が盛んになったのは、天然もののサケ科の魚の体内にアニサキスをはじめとする寄生虫がいることが大きな理由の1つです。

 

寄生虫を持つ魚を生食することはできません。

そこで特殊な環境で養殖を行い、徹底的に寄生虫を排除して育て、生食しても安全なサーモンを作り出しているのがサーモン業界の養殖現場です。

 

もちろん、安全性を保つために稚魚たちにはワクチン接種を行います。

健康に美味しく育てるために、エサにビタミン類を混ぜたりすることもあります。

これらの対応策が表現の違いによって一部で「薬漬け」と呼ばれてしまったのが「危険なのでは?」と考えられる原因の1つと予想できます。

 

しかし、日本のスーパーに並んでいるサーモンは約90%がノルウェー産です。

それくらいノルウェーサーモンは日本人の食生活を支えてくれるもの。どちらかといえば、厳正な環境で食用として育てられたサーモンという表現が適切かと思われます。

 

ノルウェーサーモンは、アトランティックサーモンの1ブランドだった

アトランティックサーモンの一部であり、ブランド名にあたる「ノルウェーサーモン」。

いわば松阪牛や夕張メロンのようなものと言えますね。

 

魚売り場でノルウェーサーモンの表記を見かけたら、これは特別な環境で育てられた、美味しいサーモンなんだな」と感じてみてください。

いつものお買い物がちょっぴり楽しくなるかもしれません。