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2019.02.20

マグロ丼と鉄火丼は同じじゃない!意外と知らない2つの違い

鮪人(まぐろびと)鮪人(まぐろびと)

マグロの切り身がのった丼ぶりを「マグロ丼」や「鉄火丼」と呼んだりしますね。

盛り付けは提供しているお店で異なりますが、どれも真っ赤な切り身がのっていて日本人にとても人気などんぶりです。

そんなマグロ丼と鉄火丼ですが、どんな違いがあるのかはご存知ですか?

今回は、意外に知られていないマグロ丼と鉄火丼の違いについてご説明します。

 

マグロ丼と鉄火丼の違い

マグロ丼と鉄火丼の違いは以下の2つです。

  1. 器に盛り付けられているご飯
  2. 使われているマグロの部位

マグロ丼とは白飯にマグロの切り身を乗せた丼のことです。

マグロの部位は問いません。赤身・大トロ・中トロ・ネギトロなど、どの部位を使ってもOK。

盛り付けられた部位が1種類だけの場合や、複数の部位が乗っている場合もあります。

 

対して、鉄火丼とは酢飯にマグロの赤身を乗せた丼のことです。主に寿司店で提供されています。

盛り付けられている赤身は、タレに漬けこんだ「漬け」になっていることが多いです。

 

マグロ丼と鉄火丼に使われるタレ

丼は本来であれば別々に盛り付ける「ご飯」「具」「つゆ」を1つの器に盛り込んだものです。

食べやすさと簡便さがある丼は、江戸時代にうな丼から始まったといわれています。

 

マグロ丼と鉄火丼もタレが欠かせません。

ですが、どちらも使われるタレに違いはなく、寿司や刺身のように醤油とワサビで食べるのがメジャーです。

そのほかに醤油・みりん・酒を混ぜて作った甘辛タレの場合もありますよ。

 

マグロ丼と鉄火丼に使われる薬味

薬味に関してもマグロ丼と鉄火丼に違いはありません。

生臭さを和らげるためのネギや、味のアクセントになるのりやゴマが主に使われています。

 

マグロ(鮪)を好んで食べるようになった時期

日本人にとってマグロは世界で捕れる量の約4分の1を消費するほど、食卓に欠かせない魚です。

 

日本人とマグロの歴史は縄文時代までさかのぼります。

縄文時代の遺跡からは、鹿の角でできた釣り針が出土。貝塚からは魚の骨が見つかっています。

見つかった魚の中にはマグロの骨もありました。縄文時代の人々はマグロを釣って食べていたのです。

 

現在のように刺身のマグロを好んで食べるのは江戸時代になってからです。

昔は捕れた魚を塩漬けなどに加工し、発酵させて保存食としていました。

けれど、当時のマグロはそのまま食べるには生臭さがあり、塩漬けにしても美味しくなかったそうです。

また、鮮度が落ちやすい魚でもあったため、マグロは現在のように広くは食べられていなかったのです。

 

醤油の誕生でマグロ(鮪)に注目が集まる

マグロを好んで食べるようになるのは江戸時代です。

江戸時代には、生の魚を酢飯に添えて食べるにぎり寿司が流行します。

 

流行のきっかけとなったのは、江戸時代に関東地方で濃口醤油が造られるようになったことです。

濃口醤油が造られる以前は、醤油と言えば関西地方で造られていたたまり醤油でした。

当時のたまり醤油を刺身に付けて食べると、魚の生臭さが強調されていたそうです。

その一方で、塩分の高い濃口醤油を刺身に付けると、魚の生臭さが和らぐことから江戸前寿司で重宝されるようになります。

 

トロより赤身が高価で取引

マグロを刺身で食べるようになったころは赤身が主流でした。

現在では赤身よりも高価に取引されているトロは、脂肪が多くて腐りやすい部分です。冷蔵・冷凍技術が進んでいないころは安価で取引され、捨てられることもありました。

 

けれど、昭和になると冷蔵・冷凍技術が進み、生のマグロの鮮度を保つことができるようになります。

また、食生活の欧米化も進み、脂が乗った食材が好まれるようになりました。

 

赤身が高価だった時代から、脂の乗ったトロが好まれるように時代は移り変わっていくのです。

 

マグロの赤身を「鉄火」と呼ぶ理由

マグロの赤身の巻き寿司を「鉄火巻き」、赤身を乗せた丼を「鉄火丼」と呼びます。

なぜ、赤身を「鉄火」と呼ぶのでしょうか。

 

鉄火とは真っ赤に燃えた鉄の様子や、焼けた鉄を打つときの火花を指す言葉です。

マグロの赤身は鮮やかな赤色をしています。赤身の色合いを十分に焼かれた鉄に例えて「鉄火」と呼ばれるようになったといわれています。

 

また、鉄火はマグロを指す言葉だけではありません。

勇敢で激しい気性の女性を「鉄火肌」、男気のある性格の男性を「鉄火伝法(てっかでんぽう)」と表します。

鉄火肌と鉄火伝法は、マグロと同様に赤く焼けた鉄から派生したと考えられています。

 

鉄火の由来やそのほかの言葉を知ると、鉄火丼に使われている部位も思い出しやすくなりますね。

 

鉄火丼の他に「鉄火」が付く食べ物

鉄火が付く食べ物はマグロの赤身を使った料理を指すことがほとんどです。

 

一方で、マグロのほかにも鉄火が付く食べ物があります。例えば、なめ味噌の1つ「鉄火味噌」です。

鉄火味噌とは、赤味噌に細かく刻んだ根菜・炒り大豆・ネギ・砂糖・みりん・唐辛子などを加えて練ったもの。

味噌を油で炒めると燃えた鉄のように赤みの光沢が増すところから、鉄火味噌と呼ばれるようになりました。

鉄火味噌も焼けた鉄が由来になっています。

 

マグロ丼と鉄火丼の違いを知れば注文時も安心

マグロ丼と鉄火丼の違いは、使われているご飯とマグロの部位です。

マグロ丼には白飯が使われ、マグロの部位は問いません。

鉄火丼は酢飯が使われ、マグロの赤身が乗せられています。

マグロ丼と鉄火丼の違いを知ると、メニューを見ても迷わなくなりますよ!