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2019.03.19

サーモンと鮭は別物って本当?アトランティックサーモンが回転寿司で愛されるワケ

鮪人(まぐろびと)鮪人(まぐろびと)

脂のたっぷり乗ったサーモンは日本人に大人気です。

例えば、とろサーモンや炙りサーモン。寿司屋で見かけるこれらのメニューは実に食欲をそそりますよね。

 

ところでこの「サーモン」と、焼き魚として食卓に並ぶ「鮭」との違いをご存知ですか?

ちょっと自慢できる豆知識「サーモンと鮭の違い」についてご紹介します。

 

言葉の上では「鮭=サーモン」で正解。だけど…?

サーモンと鮭。パッと見て気づく違いといえば、英語か日本語かという点ですね。

サーモン”Salmon”は英語で鮭を表す言葉。ということは当然、言葉の上では「サーモンと鮭は同じもの」というのが正解です。

 

ところが、日本人の多くはサーモンと鮭を違うものとして捉えています。

あなたもおそらく「はっきりと説明はできないものの、なんとなく違うもの」と感じてはいませんか?

 

じつはこれも正解です。

「サーモンと鮭は同じ」というのも「サーモンと鮭は別物」というのも、それぞれ正解なのです。

……なんだか混乱してきましたが、いったいどういうことなのでしょうか?

 

焼き鮭と生食のサーモンは全く別の魚!?

混乱を解消するために、言葉ではなく日常的な感覚としての「サーモン」と「鮭」を思い出してみましょう。

 

日本では一般的に、サーモンといえば寿司や刺身を、そして鮭といえば焼き魚やおにぎりの具を想像します。

鮭は加熱しサーモンは生食する、という認識が浸透しているのです。

 

これも当然。寿司や刺身に使われる「サーモン」と、焼いて食べる「鮭」はそれぞれ別の種類の魚なのです。

 

一般的な「鮭」はシロザケ

まず「鮭」という日本語の本来の意味は、サケ目サケ科サケ属の海水魚を指します。

その中でもシロザケという種類のサケを指すのがもともと使われていた「鮭」という単語でした。

 

日本で穫れるサケの大半はこのシロザケです。

焼き魚やおにぎりの具のイメージがあるいわゆる「鮭」は、このシロザケや似た種類のギンザケを指していることがほとんどです。

 

シロザケは寒い海を好む魚で、北海道から本州北部にかけて生息しています。

孵化〜稚魚の時代は川で過ごし、やがて成長して春になると海に出ます。海で3〜6年間ほど過ごした後、生まれ育った川に戻って産卵し、その一生を終えてゆきます。

 

焼いて食べることが多い理由は昔の人の知恵によるものです。

日本で鮭が食べられ始めた時代にはまだ適切な養殖技術がありませんでした。当時アニサキスなどの寄生虫によるリスクを避けるには、加熱するのが一番だったのです。

 

一般的な「サーモン」はアトランティックサーモン

一方、寿司屋や刺身売り場で見かける「サーモン」は、北ヨーロッパを中心に養殖されているサケ目サケ科タイセイヨウサケ属の海水魚。

中でも「アトランティックサーモン」を指しています。

 

アトランティックサーモンは日本では獲れない魚です。

日本で食べられ始めたのは1980年ごろ。意外と最近なのだとびっくりされる方も多いかもしれません。この時代にノルウェーから輸入され始め、徐々に日本の食卓にも浸透していきました。

 

アトランティックサーモンは、肉厚で脂の乗った濃厚な食感が特徴です。

現在、この魚の多くは産地にて整った管理体制のもと養殖されているため安心して食べることができます。

ノルウェーをはじめとする各産地では、エサや環境に徹底した配慮を施すことで魚に寄生虫を寄せ付けず、安全性の高いサーモンを出荷しています。

 

スーパーで見かける「トラウトサーモン」とは?

余談ですが、スーパーの魚売り場でよく見かけるものに「トラウトサーモン(サーモントラウト)」があります。

「普通のサーモンとどう違うの?」と不思議に思っている方もいらっしゃるでしょう。

 

じつは厳密に言うと、トラウトサーモンはサケではありません。

トラウトとは英語で「マス」という意味。トラウトサーモンとは淡水魚のニジマスを海で養殖できるように品種改良したものを指します。

 

ニジマスはもともと味が良く、加熱しても身が固くなりにくくふっくらしていることが特徴的。

このニジマスを品種改良したトラウトサーモンは、通常のニジマスよりも大きめに育ちます。身色や味も非常に良く、現在破竹の勢いで養殖量を伸ばしている魚です。

魚売り場では、「サーモントラウト」「トラウトサーモン」の他、単に「サーモン」と表記されることもあります。

 

鮭とサーモン、どうしてこんなにややこしい?

ちょっとややこしい感じのある「サーモン」と「鮭」の関係。

なぜこんなややこしい状態になったのかと言えば、言葉が生まれた時代の背景が原因と言えるでしょう。

 

というのも、もともと日本ではシロザケしか知られていない時代に「鮭」という言葉が生まれました。

アトランティックサーモンは日本の周辺では獲れません。シロザケが一般的なものになるのは自然な流れですね。

一方、海外ではアトランティックサーモンしか知られていない時代に「サーモン」という言葉ができました。

 

いざ世界規模での流通が行われるようになった時に、これら2種類の言葉は同じサケ類を指すものとして翻訳されたのです。

それと同時に、サケの仲間にもいろいろな種類が存在することが判明していきます。言葉の定義と実際の学術的な分類、そして一般的なイメージの間に、ズレと混乱が生じたのでしょう。

結果的に、日本では今のような形におちついたのです。

 

アトランティックサーモンが回転寿司で愛されるワケとは

サーモンは英語で鮭を指すもの。そういう意味では「サーモンと鮭は同じもの」と言えます。

でも一般的に認知されている「サーモン」はアトランティックサーモンやニジマスの仲間であるトラウトサーモンを指し、「鮭」はシロザケを指して使われることがほとんどです。

その意味では、「サーモンと鮭は別のもの」と言えるわけです。

 

いずれにせよ、脂ののったアトランティックサーモンの魅力は変わりません。

日本人の舌に馴染んだ鮭ももちろん魅力的ですが、特有の甘みと脂を持つアトランティックサーモンは生で寿司や刺身として楽しむのに最です。

また、養殖を基本としているからこその安全性も箸を進めてくれますね。

回転寿司や居酒屋のお刺身など、アトランティックサーモンは私達の食生活に欠かせないもの。これからもぜひ堪能してくださいね!