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2018.07.20

紀州が本場!東日本で愛されるメバチマグロを徹底解説

鮪人(まぐろびと)鮪人(まぐろびと)

一口にマグロといっても、さまざまな種類がありますよね。日頃食べているマグロで最も多いといわれているのがメバチマグロです。日本ではキハダマグロと同じか、それ以上に漁獲量が多いとされています。

 

今回は、メバチマグロの特徴や名前の由来、生態、食材としての価値、トロはあるのか・・・など徹底解説していきます。

 

メバチマグロの特徴・名前の由来

メバチマグロは、スズキ目サバ科マグロ属に分類されます。日本ではクロマグロやミナミマグロほど高級ではなく、大衆的に愛されているマグロの一つです。

それではメバチマグロの特徴や名前の由来についてご紹介しましょう。

 

成魚の大きさ

メバチマグロの成魚の大きさは全長2m前後で、クロマグロに次ぐ大きさになります。体重は80~120kgほどで、マグロのなかでミナミマグロやキハダマグロと同じ中型サイズに分類されます。

 

特徴・名前の由来

メバチマグロの特徴は、なんといっても「目が大きい」ということが挙げられます。ほかのマグロと比べると、目の大きさが全く違いますので一目瞭然です。

 

メバチは「目鉢」「目撥」「眼撥」などと表記されるので、これらからも目が大きいということが分かりますね。学名はThunnus obesus 、英名ではBigeye tunaとなっていて、英名にも「大きな目」を表わす単語が含まれています。

 

市場では「メバチ」と呼ぶのが一般的ですが、そのほかにも次のような呼ばれ方をします。

メッパ・メッパチ・メンバチ・ヤハラ・ヤワラ・イモシビ・キツネ・シビ・ソマガツオ・トカキン・トックリバツ・ヒラシビ・バチ・バチマグロ・メブト

 

またメバチマグロは成長段階・サイズによって、業界では次のように呼ばれて分類されています。

  • 15kg以下・・・ダルマ
  • 25kg以下・・・小鉢(コバチ)
  • 40kg以下・・・中鉢(チュウバチ)
  • 40kg以上・・・大鉢(オオバチ)

 

15kg以下のものが「ダルマ」と呼ばれるのは、ずんぐりとした体形からだそうです。さらにほかのマグロと比べると、やや平べったく体高が高くなっていること、胸鰭が長いことなども判別に役立ちます。

 

メバチマグロの生息域・水揚げ場所・漁獲法

メバチマグロはどの辺りに生息しているのでしょうか?主な水揚げ場所や漁獲法などもご紹介します。

 

生息域・産卵の時期

メバチマグロはどの海域でも見ることができる魚ですが、赤道付近に多く生息しているといわれています。マグロの中では水深100m~150mと最も深いところを泳いでいて、夜になって水温が低くなってくると上層部へ上がってきます。

 

メバチマグロの生態は謎の部分が多いのですが、産卵は太平洋の場合、北半球が4~6月、南半球が1~6月に行われます。熱帯域では周年産卵するので、漁獲量も多い品種となっています。寿命は10~15年以上です。

 

主な水揚げ場所・漁獲法

世界でメバチマグロの水揚げ量が多い国・地域は次の通りです。

  • インドネシア
  • 台湾
  • エクアドル
  • スペイン
  • 中国
  • 韓国

 

日本の漁獲量も世界第3位となっています。次に、日本の主な産地をご紹介しましょう。

  • 静岡県
  • 和歌山県
  • 高知県
  • 東京都
  • 宮城県
  • 鹿児島県

 

日本近海では宮城県の気仙沼港沖~九州の太平洋側に生息しているため、太平洋側の漁港での水揚げが多くなっています。日本海や地中海などの内海には入ってこないという情報もあります。

 

メバチマグロ漁獲法は、遠洋漁業で延縄・巻き網で水揚げされます。マグロの漁獲量ではもっとも多く、キハダマグロと同じかそれ以上といわれているのがメバチマグロです。

 

国内では紀州が本場

日本での水揚げは、紀州・和歌山県那智勝浦で盛んに行われています。紀州勝浦ではメバチマグロだけでなく、ほかのマグロも生で多く水揚げされます。

 

那智勝浦町では、ふるさと納税の返礼品として「生メバチマグロ」や「まぐろ缶」などがラインナップされていて、本場のマグロを味わいたい人に人気です。

 

個体数の減少

世界的なマグロ需要拡大に伴い、マグロ全般の個体数が減ってきています。現在ではクロマグロやミナミマグロが漁獲規制の対象となっていますが、次はメバチマグロも規制対象になるのではないかといわれています。

 

養殖

メバチマグロは養殖も行われていますが、市場にはまだ出回っていません。養殖がおこなわれているのはハワイ。深海養殖場で行われています。メバチマグロの養殖はまだ研究段階なので、今後の成長が期待されます。

 

食材としてのメバチマグロ

マグロの中で、もっとも多く食べられているのがメバチマグロです。メバチマグロを美味しい食べ方や栄養素などをご紹介しましょう。

 

メバチマグロが最もおいしく味わえる旬の時期は、9月~11月です。この時期は日本近海のみならず、インドネシアなどからも脂ののったものが入ってきます。

日本国内では、この時期に出回る三陸沖~銚子沖のものがとても美味しいです。

 

味わい・調理方法

先ほどもご紹介したように、メバチマグロは水深の深いところで生息しています。そのため色が変色しにくいことが特徴で、刺身として重宝される魚です。

 

クロマグロやミナミマグロに比べると若干あっさりしています。わずかな酸味に脂の甘味が加わり、酢飯との相性がいいので、寿司種として人気です。

 

メバチマグロは、そのほとんどが赤身となっていてトロにあたる部分は中トロのみ。大トロと呼ばれるほど脂が多く乗った部分はありません。

中でも勝浦の「脂バチ」はトロが絶品な希少マグロとされています。

 

高級寿司店以外の回転寿司や宅配寿司店などでは、メバチマグロの中トロを「トロ」として使用している場合が多いです。クロマグロのトロと比べて、メバチマグロのトロは色が薄いので、もしかすると気づいてしまう方もいるかもしれませんね。

 

おすすめの食べ方は先に挙げた寿司以外にも、刺身、漬け、つくだ煮、塩焼、ソテーなどがあります。

 

栄養

メバチマグロは鉄分のほか、ビタミン・ミネラルが豊富に含まれている食材です。ビタミンの中でもDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)を多く含み、成人病の予防に効果が期待できます。

 

その他、皮膚をキレイにするナイアシン、骨の形成に役立つカルシウム、カルシウムの吸収を助けるビタミンDも多く含まれます。

 

東日本はメバチマグロ

西日本では、あっさりとした味わいのキハダマグロが好まれますが、東日本ではキハダマグロよりもコクがあるメバチマグロが好まれる傾向にあります。東北~関東で愛されているマグロの一つです。

 

メバチマグロの選び方・価格

活きがよく美味いメバチマグロを選びたいときは次のポイントに着目しましょう。

  • 身にハリがあるもの
  • シミや黒ずみがないもの
  • 下に敷いてあるシートの赤いにじみが少ないもの(切り身)
  • 身の色が鮮やかな赤色のもの(切り身)

 

刺身で食べたい場合は、なるべく「さく(かたまり)」で購入し、食卓に出す直前に切った方が美味しくいただくことができます。

 

ほとんどが冷凍して輸入したものを解凍しているので、切り身を選ぶ場合は下に敷いてあるシートに水分が出ていないか、にじみがないかなどを確かめましょう。マグロの中ではもっとも深いところを泳いでいるので、色が変わりにくく重宝されます。

 

価格・卸値

メバチマグロは漁獲量も多く、冷凍ものなどは年中出回るため、クロマグロやミナミマグロほど高級ではありません。クロマグロの5倍以上の漁獲量があるといわれています。価格は比較的安く、東日本でスーパーなどに並ぶマグロはメバチマグロであることがほとんどです。

 

卸値は生鮮ものは2,000円/キロ、冷凍ものは1,000円/キロが相場となっていて、生鮮物が高い傾向にあります。特に三陸沖でとれる生鮮物は高値がつくことが多いです。

 

「マグロ」といえばメバチマグロ!

一般的にマグロというとメバチマグロを指すことが多く、スーパーに並ぶマグロのほとんどがメバチマグロの冷凍ものであることが分かりましたね。

 

刺身として食卓に並ぶ機会も多いのではないでしょうか。メバチマグロの旬は晩秋なので、その時期に出回る生鮮ものもぜひ味わってみてくださいね。