マグロの刺身に合う醤油はたまりか再仕込み!寿司屋の醤油に近づけるには?
2018.06.18
> コラム> 【醤油の種類、全部知ってる?】5種類の醤油を使い分けて料理の腕をレベルアップ!
2018.06.15
赤鮪
普段何気なく料理にかけている醤油。
実は大きく分けて5種類もあるんです。
煮物にうすくち醤油を入れる方は多いと思います、でも他の醤油に比べて塩分濃度が高いために少しの量で味がしっかり付くってご存じですか?
味とうまみが凝縮した溜(たまり)醤油は刺身にピッタリ!
白醤油はバニラアイスにかければ……
この記事を読めば醤油の特徴を理解して素材の力を引き出せる料理が作れますよ!
一般的に醤油と言えば濃口醤油を指します。流通量の80%がこの醤油で北海道から沖縄まで各地で生産されています。
万能の醤油で煮物・焼き物・だし・たれ・卓上の醤油としても使われており、家にある卓上の醤油はまず濃口醤油と思って良いでしょう。香りの良さがクセの強い魚や肉などの臭みを消してくれます。
製造方法は大豆と小麦を同量入れて麹(こうじ)をつくります。そこに、麹量の1.2倍~1.3倍の塩水を入れて半年から1年程度発酵熟成をさせていきます。1年をかけて攪拌(かくはん)作業を行うので作り手は蔵のそばを長期で離れることはできません。
作りたてはキレイな赤色をしていて風味も豊かですが、開栓後は色が濃くなっていきどんどん風味が劣化していきます。
濃口醤油よりも色が淡く、香りが弱い醤油です。
薄口と書くと塩分や味が弱いことだと勘違いされるされることがあるので業界内では「淡口」と書いて色が淡いことを示しています。塩分濃度は濃口醤油よりも高めで少量で塩味が効いてくるため、使用量が少なくて済みます。
色が付きにくいため魚や野菜などの持ち味や色合いを生かす煮物料理やすまし汁を作るときはキレイに仕上がります。ただし濃口醤油に比べうまみ成分が若干少ないためにコクを補うため濃いめのだしをたっぷり使います。
兵庫県竜野地方で生産がはじまった関西生まれの醤油で、全消費量の14%を占めています。濃口醤油とほとんど同じ原料・作り方ですが、色が濃くならない工夫が随所にされています。
熟成期間が長くなるほど、空気と接触するほど、温度が高くなるほどに色が濃くなる傾向があるので、その逆になるように短期間で、低温で、攪拌(かくはん)の頻度を少なくするなどの工夫をします。仕上げの段階で甘酒を加えるのが特徴的です。
大豆を主原料に仕込水を少なくすることでうま味を凝縮させた醤油。とろみがあり、色も濃い。
しかし塩分濃度は濃口醤油と同程度。東海地方でよく使われており、赤身のお刺身や納豆との相性が抜群!加熱するとキレイな赤みが出るので照り焼きや煮物、せんべいに使われたりもします。
濃口醤油や淡口醤油は大豆と小麦をほぼ等量ずつ用いるのに対し、溜醤油は大豆が主で、小麦はほとんど使われないか、使ってもごくわずか。
大豆を蒸してみそ玉を作り、これに麹菌(こうじきん)を植えつけ、塩水に仕込んで1年程熟成させます。
たまり醤油の諸味(もろみ)はとても固く撹拌(かくはん)できないので、諸味(もろみ)の中に細長い竹篭を入れ、この篭にたまってくる液汁を汲んでは諸味(もろみ)の上にかける「汲みかけ作業」を繰り返して作られます。
熟成後は底の方から醤油を抜きそのまま製品にします。国内生産量は2%弱となっています。
醤油を2度醸造するような製法をとるため「再仕込み」醤油と呼ばれます。
一般的に色が濃く、どろりと濃厚な味に仕上がります。味・香りのバランスが良く、こちらもマグロ等の刺身・寿司・冷や奴など素材を活かす「かけ醤油」に向いています。うま味が多い濃口醤油のような感覚です。
山口県の柳井市が発祥と言われ手掛ける蔵元は全国的に点在していますが、手間や価格の問題から国内生産量は1%ほどしかありません。
この再仕込み醤油は生揚(きあげ)醤油と呼ばれる酵素がまだ活動している生の醤油を食塩水の代わりに仕込みます。
製造には2年~3年程の期間がかかり、大手メーカーが積極的に手掛けないタイプなので小規模のこだわり醤油を目指す蔵元が手掛ける傾向があります。別名「甘露しょうゆ」とも呼ばれます。
色は淡口醤油よりさらに淡く、醤油色というには程遠い黄金色をしています。
独特の香りがあり、うまみ成分が濃口醤油の1/2~1/3程度しか無くコクは余りありません。卓上の醤油やかけ醤油ではなく、基本的には調理・加工用の醤油になります。
色の淡さと香りを生かしてうどん・吸い物・茶碗蒸し・漬物・炊き込みごはん等に使われます。
素材の味を楽しみたい場合の塩代わりに用いることも可能なのでバニラアイスを塩アイス風に変えるといったことも可能です。
全国的に白醤油の専業メーカーは少なく、全国生産量は1%未満。主産地は愛知県の碧南市です。業務用途も多いですが一般消費者にも認知が進んできて愛用される方も増えています。
白だしという言葉を聞いたことがありませんか?これは白醤油にだしを加えたものです。
原料は小麦がほとんどで、小麦9割大豆1割程度で溜醤油と配分がほぼ逆になっています。大豆を一切使わない白醤油もありますが、醤油の定義は大豆を使っていることなのでこの場合は醤油と呼べなくなっています。
引用元:創業明治7年 変わらぬ製法を守り続けるヂガミイワ醤油 | 岩尾醤油醸造元
JAS規格では製造方式によってもしょうゆを分類しています。「本醸造」「混合醸造」「混合」の3つの方式です。違いは主にアミノ酸液を使用しているか、どのタイミングで入れるかです。
アミノ酸液は脱脂加工大豆など植物性のタンパク質を酸分解したものです。
グルタミン酸・アスパラギン酸・プロリン・アラニンなどのうま味成分の元であるアミノ酸を多く含んでいます。これらの製造方式はラベルの裏側に表示されていますので、すぐ見分けることができます。
本醸造はアミノ酸液を使っていないタイプの醤油で、大豆・小麦・塩が主原料。
麹菌(こうじきん)や酵母、乳酸菌などが働いて分解・発酵が進み、さらに熟成されて醤油特有の色・味・香りが生まれます。 伝統的な醤油製造法です。
醤油を搾って液体にし、生揚(きあげ)醤油の状態にしてからアミノ酸液を入れるのが混合方式。
JAS法の定義によれば、アミノ酸液の使用量は窒素換算で80%以下とされています。逆をいえば、アミノ酸液 80%+本醸造醤油 20%でも醤油と定義されるので、同じ混合方式の醤油でも中身は全然違うということになります。
諸味(もろみ)にアミノ酸液を加え、数ヶ月間熟成させます。
熟成させることでアミノ酸液特有の香りを和らげることができます。製品によっては、アミノ酸液ではなく、酵素で大豆を加水分解した酵素分解調味液や小麦を発酵により分解した発酵分解調味液を使います。
これらの製造方式を見てアミノ酸液が入っていると粗悪な醤油だと捉えがちですが、一概に本醸造だから良い、それ以外だから悪いといったことではありません。
九州地方で人気がある甘口醤油などは混合・混合醸造ですし、地域によって好みが分かれるからです。
アミノ酸液は昔こそコストを下げるために使用していたものですが、現在ではそういったことは少ないです。大豆・小麦・塩だけで作る醤油の方が原材料が少なくて済みますからね。
アミノ酸液はメーカーさんの「どういった醤油を作りたいか?」という想いによって入れられるものなのです。
説明したJAS規格の5種類に入らないからニセモノなのでは?と言う疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。
JAS規格では塩分濃度が9%以下であれば「減塩醤油」と名乗って良いとされていて、JAS規格の5種類の醤油を完成させてから塩分のみを抜き出す作業を経て作られた醤油です。
醤油加工品と呼ばれ、醤油にみりん・砂糖・だし・うまみ調味料等を加えたものです。
「○○醤油」等のネーミングに規定はなく、メーカーが好きに名前をつけることが出来ます。ラベルには「しょうゆ加工品」と書かれますが、醤油加工品はニセモノの醤油だ!化学調味料だけで作った醤油だ!とするのは間違いです。
メーカーがその食材に合うように、手軽に本格的な味を楽しめるように作られた商品なのです。
引用元:石毛直道食文化アーカイブス
出典:魚醤とナレズシ
魚介類を塩漬けして発酵したもので、同じ塩を使って発酵させたものですが醤油とは全然違います。
魚を使用しているため「動物性たんぱく質」が主体になっておりコクと甘みのある濃厚な味わいと魚介独特の生臭さが特徴。魚醤(ぎょしょう)の方が塩分濃度が高くしょっぱいです。
タイではナンプラー、ベトナムではニョクマムと呼ばれ、作り方は基本的に同じで主にカタクチイワシなどの小魚を原料に塩で漬け込み発酵させます。
近年では小麦などの穀物に含まれるタンパク質から生成されるグルテンを摂取しない食事療法が注目されており、元々溜醤油は小麦をほとんど使いませんが、まったく小麦を使わない醤油を「グルテンフリー醤油」と呼び、最近はそういった商品が登場しています。
自分好みの醤油は見つかりましたか?今まではなんとなくこの醤油はおいしい!と思っていたものでも理屈がわかれば料理の幅が広がり、買った食材の持つ力を100%引き出してあげることが出来そうですね!次の食事は醤油の種類と特徴を意識して作ってみて下さい!