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2018.06.23

徹底解説 ミナミマグロ!またの名をインドマグロ!どこで獲れるか知っていますか?

鮪人(まぐろびと)鮪人(まぐろびと)

一口にマグロといっても、さまざまな種類があります。どのマグロかわからないまま食べている人もいるのではないでしょうか?

 

今回はマグロの中でも南半球にしか生息しないといわれているミナミマグロをご紹介します。日本ではインドマグロと呼ばれることも多いので、「それなら知っている!」という方も多いかもしれませんね。

 

ミナミマグロの特徴や名前の由来、生態、食材としての価値など徹底解説していきます。

 

ミナミマグロの特徴・名前の由来

ミナミマグロは、スズキ目サバ科マグロ属に分類されます。日本ではインドマグロと呼ばれていて、クロマグロに次いで高級品とされていますね。それではミナミマグロの特徴や名前の由来についてご紹介しましょう。

 

成魚の大きさ

ミナミマグロの成魚の大きさは全長2m前後で、クロマグロに次ぐ大きさになります。体重は80kg~200kgのサイズが多く、マグロのなかではメバチマグロやキハダマグロと同じ中型サイズに分類されます。

 

ミナミマグロは成長に伴い大きくなりますが、そのなかでも比較的美味しいといわれるのが100kg前後サイズのものです。

 

特徴・名前の由来

ミナミマグロの特徴は、胸びれがほかのマグロにくらべて短いことが挙げられます。この胸びれは第二背びれまでは届かない長さです。さらに尾の近くにある小さいヒレがあるのですが、これが黄色いのもミナミマグロの特徴の一つです。しかし、流通する間にこの部分を落としてしまうことが多いので判別は難しいといわれています。

 

ミナミマグロは南半球だけにしか生息しません。そのため「ミナミマグロ」と呼ばれるようになりました。学名はThunnus maccoyii、英名ではsouthern bluefin tunaとなっていて、英名にも「南」を表わす単語が含まれているのでわかりやすいですね。

 

日本ではインドマグロと呼ばれることが多いですが、昔インド洋でたくさん水揚げされたためといわれています。また、オーストラリア近海も水揚げが多いので「ゴウシュウ(豪州)マグロ」と呼ばれることもあります。

 

ミナミマグロの生息域・水揚げ場所・漁獲法

ミナミマグロはどの辺りに生息しているのでしょうか?主な水揚げ場所や漁獲法などもご紹介します。

 

生息域・産卵の時期

ミナミマグロはその名の通り南半球でしか生きることができません。南半球でも温帯・亜寒帯域の中緯度海域を生息域とし、太平洋・大西洋・インド洋を高速で回遊しています。

 

ミナミマグロの生態は謎の部分が多いのですが、産卵はインド洋東部・インドネシア南岸・オーストラリア西岸・ジャワ島南方で行われると考えられていて、産卵の時期は9月~翌年の4月となっています。

 

ミナミマグロの寿命は20年以上といわれているので、マグロの中では長寿の部類に入りますね。

 

主な水揚げ場所・漁獲法

ミナミマグロは南半球でしか生の状態で水揚げされません。世界でミナミマグロの水揚げ量が多い国・地域は次の通りです。

 

  • オーストラリア
  • ニュージーランド
  • フィリピン
  • インドネシア
  • 南アフリカ
  • 韓国
  • 台湾

 

ミナミマグロは遠洋漁業の、延縄・巻き網で水揚げされます。刺身・寿司の材料として、その多くが日本に輸入され消費されています。

 

個体数の減少

冷凍保存技術の発達に伴いミナミマグロの漁獲量は増えました。その結果、ここ50年ほどで個体数が92%も減少したというデータがあり、1994年には絶滅危惧種の一つとして登録されました。

 

この結果を受けて日本・オーストラリア・ニュージーランドによって「ミナミマグロ保存委員会」を設立し、その後ほかの国々も加盟しましたが、割り当て以上の漁獲量が発覚したりと問題は解決していないのが現状です。

 

養殖

絶滅危惧種とされているミナミマグロの天然ものはとても希少です。最近では養殖ものの流通が多くなりました。天然ものとくらべて価格も安価となっています。

 

ミナミマグロの養殖は主にオーストラリアやニュージーランドで行われています。養殖といってもミナミマグロの稚魚を漁獲し餌をあたえて大きくするため、蓄養ともいえるでしょう。

 

近年では養殖ものは天然ものに引けをとらないほど改良されて、美味しくいただくことができるようになりました。

 

食材としてのミナミマグロ

漁獲量の少ないミナミマグロですが、その味わいは日本でとても人気です。ミナミマグロの旬の時期や味わいについてご紹介します。

 

ミナミマグロが最もおいしく味わえる天然ものの旬の時期は、夏です。北半球を生息域とするクロマグロが秋~冬が旬となるのに対し、ミナミマグロは春~夏が美味しい時期となります。

 

味わい・調理方法

ミナミマグロは強いうまみが特徴で、濃厚な味わいです。脂ものっていて甘みを感じることができ、口の中にいれるととろけてしまう食感が人気になっています。

 

マグロといえば脂がのっている「トロ」の部分が美味しいですよね。ミナミマグロの身は大きく赤身・中トロ・大トロと3つに分けることができるので、部位によって違った味わいや食感を楽しむことができます。

 

日本では基本的に刺身や寿司として調理されるのが一般的です。高級魚ですから、生のまま素材の味を楽しむのがもっともおすすめの食べ方といえます。

 

そのほか、煮つけ・汁物・焼き物・揚げ物などの調理方法でも美味しくいただくことができますよ。

 

栄養

ミナミマグロは鉄分のほか、ビタミン・ミネラルが豊富に含まれている食材です。ビタミンの中でもDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)を多く含み、高血圧の予防に効果が期待できます。

 

ほかにもミネラルとしては骨の形成に役立つカルシウム、マグネシウム、リンなどが含まれています。

 

日本では焼津ミナミマグロが有名

南半球にしか生息していないミナミマグロですが、昭和後期から超低温冷凍保管することにより日本の漁船でも漁獲できるようになりました。水揚げ後、船上で処理を行いマイナス60度で急速冷凍を行って運びます。

 

急速冷凍されたミナミマグロは国内に運ばれますが、そのなかでも静岡の焼津市では「焼津ミナミマグロ」を全国普及すべく運動を行っています。焼津ミナミマグロは平成27年度「しずおか食セレクション」に認定され、静岡を代表する食の一つになりました。焼津市のふるさと納税の返礼品にもなっていて、納税者に喜ばれています。

 

選び方・価格

活きがよく美味しいミナミマグロを選びたいときは次のポイントに着目しましょう。

 

  • 身がへこんでいないもの
  • シミや黒ずみがないもの
  • 下に敷いてあるシートの赤いにじみが少ないもの(切り身)

 

切り身の場合、筋が透明なものを選ぶと柔らかい脂分を味わうことができます。ミナミマグロは流通量が少ないので、天然ものがスーパーなどに並ぶことは稀です。

 

ほとんどが冷凍して輸入したものを解凍しているので、切り身を選ぶ場合は下に敷いてあるシートに水分が出ていないか、にじみがないかなどを確かめましょう。色変わりが早いマグロのため、より鮮やかな赤色を選ぶと良いでしょう。

 

価格・卸値

ミナミマグロはその美味しさから、マグロの中でもクロマグロに次ぐ高級品とされています。

 

卸値は生鮮ものは2,500円/キロ、冷凍ものは2,000円/キロが相場となっていて、その差はあまりありません。

 

ミナミマグロを食べるならぜひ刺身で!

ミナミマグロは身のしまりもよく脂ものっているため、刺身でいただくのがおすすめです。酢飯との相性も抜群なので、お寿司屋さんで入荷があったらぜひ注文して、その旨みを味わってみてくださいね。